空気が読めない女たち 傑作(0)
2007/6/14(木) 午前 5:51
恋愛についてその他人文科学 読もう読もうとすると、余計にわからなくなってくる!?
先日、かつての同僚シホさんから電話があった。
挨拶もそこそこに、彼女は暗く沈んだ声でこういった。
「私、こないだ会社で、KYって言われたんだ」。
“KY”とは「空気が読めてない」「空気を読め」の略。数年前から使われており、
今は死語になりつつあるらしい。
「いまどきKYとか言う奴のほうがKYだよ」なんて笑い飛ばしてみたけれど、彼女の笑い声は聞こえない。どんよりとした空気が重たくて、早々に会話を切り上げてしまった。
シホさんは、なぜ「空気が読めない」と言われたのか。
元臨床心理士のミヨコさんに相談してみた。「“空気が読めない”って言った人は、
“あなたは人の気持ちが読めてない”と言いたかったんだろうね。
シホさんは自分のことを伝えたいという思いが強すぎたのかも。
自分を引くことで、相手の表情やしぐさ、言葉のニュアンスなどに気づく余裕が生まれるもの。
いつもよりほんの少しだけ相手の気持ちを理解しようと思うこと、聞き上手になることで、
空気の読める女になっていくんじゃないかな」とのことだった。
確かにシホさんは聞き上手じゃなかったかも知れない。
しかし「KY」の烙印を押されたショックで、ひどく落ち込んでいるシホさんに、
「相手の話を聞かないからだよ」なんて言える空気ではなかった。
ああ、空気って読もうとすればするほど、よく判らなくなってくる。
「空気が読めない人」というのは、最近もっとも嫌われる人の代名詞。
女性誌のアンケートでも、小学生のアンケートでも、「嫌いな女性」ランキングで
必ず上位に上がってくる。
ネット上では「空気嫁」と罵られる。では「空気の読めない人」とは、どんな人なのか。
“「場の空気」が読める人、読めない人”(福田健著、PHP研究所)という本から、
具体例を抜粋してみよう。
1.会議で頓珍漢(とんちんかん)なことを言いだす上司
2.疲れて帰宅した夫に「仕事と私、どっちが大事?」と迫る妻
3.おかまいなしに長話をするおばさん
4.マニュアル通りの対応で客をイライラさせる店員
(BOOKデータベースより)
1の上司はわからないことをわからないと言えない人。
2の妻は困らせることで愛情表現をする人。
3は自分の欲求に正直な人。
4はやれと言われたことしかできない人。
「空気が読めない人」というのは、実に広い守備範囲を持つようだ。
次は的を「女性」に絞って、「空気の読めない女ってどんなの?」と、
様々な世代の男女に聞きまわってみた。集まった意見を要約すると次の通り。
・延々と自慢話をする女
・マナーが悪い女
・いつも自分の好きな話題を続ける女
・流れに関係のない話をする女
・わがままな女
・自分の意見を曲げない女
・人のコンプレックスを感じずに発言する女
これを見る限り、「空気の読めない女」って、ただ単に「嫌いな女」という印象。
そりゃ「嫌いな女」ランキングに上がってきて当然だ。
聞きとり調査の際「合コンとかで盛り上げようとしてるのに、すぐ切り上げようとする女。
空気読めって感じ」と答えてくれた男性がいた。
しかし、その場の女性陣がみんな「早く帰りたい」と思っていたらどうだろう。
女性陣から見れば、「空気が読めるいい女」で、男性陣が「空気の読めない男たち」だったに違いない。読むべき「空気」は状況によって変わってくる。
別の男性は「とあるグループで、人に迷惑かけたり、悪口を言ったりするわけではないけれども、
雰囲気が暗くとっつきずらい感じのAさんがいたんだ。
彼女をうざいと思った男が、あからさまなイヤガラセをして、
その場にAさんが居づらい空気を作ろうとしていた。
しかし、隣にいたある女性のBさんは、まわりに溶け込めないAさんを気遣って話しかけたりする。
すると その男がキレてね
。優しいBさんに「お前は空気が読めない!」って言った。
そのとき僕は、空気の読めない女性って素敵だなと思ったんだ」と話してくれた。
空気を読むとは「誰を選ぶか」という問題でもある。
「空気を読め」って言う人は、「こちらを選べ」と言っているのだ。
場合によっては「読めてない人」よりも「読め」と言ってる人の方が、自己中心的だったりもする。
その場合はあえて「空気を読まない」という選択もありなのだ。
ネットを歩けば、「私、空気が読めてなかった」という、懺悔じみた書き込みを目にする。
ときどきシホさんのように、「大丈夫?」と声をかけたくなるほど落ち込んでいる人もいる。
そんな「空気恐怖症」に陥ったら、やっぱりカウンセラーに相談してアドバイスを
受けるべきなんだろうか。
上記ミヨコさんに聞いてみると「そうだね。ただカウンセラーはアドバイスなんかしないもんだよ。
「あなたはどうしてそう思うんですか?」「ふむふむ。それで?」と、ずっと聞き役に回ると思うな」。そう言われれば、シホさんもアドバイスより、そっちを求めて電話をくれたのだろう。
この世で一番「空気が読める」のは、カウンセラーのみなさんかも知れない。
そして、一番空気が読めてなかったのは、笑い飛ばして済まそうとした私かも知れない。
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